別荘地・軽井沢の発展過程の研究 その二

icon_1r_48 信濃史学会誌「信濃」、第67巻、第9号、2015、掲載

戦前の日本の高原別荘地は、ほとんど全て外国人によって拓かれました。それがどうしてなのかを本論文で検討しました。
外国人が高原別荘地の開設を先導的に進めたのは、外国人が暑さに弱いからでもなく、彼らの「先進文化」を持ちこんだわけでもありません。せめて夏休みくらいは類似の言語を有し、また同じ価値観や経済水準を備えた外国人だけで過ごしたいという、ある意味で人間の本性に基づく排他的な欲求があったからです。また人種的、文化的に優越感を持っているにもかかわらず、自分達だけが居住や旅行の自由を奪われているという、不満と鬱屈も大きく関係していました。そして日本における少数民族としての立場と、居住・旅行などの不自由が近日中に法的に解消されるとの判断がありました。これらが外国人をして高原別荘地を開設せしめたというのが本論文の結論です。