別荘地・軽井沢の発展過程の研究 その三

icon_1r_48
信濃史学会誌「信濃」、第68巻、第2号、 2016
、掲載

カナダ生まれの宣教師・ショー師が今日の軽井沢をもたらした、との言説は、軽井沢を扱った書き物にあふれています。しかし彼の行為の何がそれに該当するのかということになると、はっきりしないのが現状です。
ショー師が軽井沢の発見者としばしばいわれます。そこで本論文では先ず、公刊された旅行記や旅行免状などをもとに彼以前に軽井沢を訪れた外国人達を探索しました。すると、数百人にも達する外国人が軽井沢に来ていることが明らかになりました。彼が多くの外国人を軽井沢に呼び寄せた、とされることについても、性格的に過大評価することは出来ず、むしろアーネスト・サトウの宣伝力が大きかったこと、そしてショー師の上司であるビカステス主教の影響力を抜きにして議論を進めるべきでないことを明らかにしたつもりです。